「生パスタ」って、そもそも何なの?

「生◯◯」ブームの火付け役
生チョコ、生キャラメル、生カステラ、生どらやき……「生」と付けば何でも魅力的に聞こえてしまう昨今。
最近ではスイーツにこの傾向が目立つようですが、「生◯◯」ブームの火付け役といえば、やっぱり「生パスタ」ではないでしょうか?
頭に「生」と付くだけで、期待度は普通のパスタの2倍3倍に跳ね上がります。
とはいうものの、生パスタとパスタは何が違うのかと訊かれると、答えるのはなかなか難しいもの。

生パスタを知らずして、パスタ好きは語れない……!
というわけで、今回は「生パスタ」の真実に迫りたいと思います。
普通のパスタ=乾燥パスタ
そもそもパスタとは、小麦粉を水や卵で練って、さまざまな太さや長さに成形したもの。
本場イタリアには、300種類ものパスタがあるといわれています。
茹でてソースであえたりスープに入れたりと、さまざまな料理に使われます。

パスタは、イタリアでは日本の米のように主食として毎日食べられています。
ですが、食事のたびに小麦粉を練って成形し、一からパスタを作るのは大変。かといって、一度に大量に作ってもそのままでは日持ちしません。
そこで生まれたのが、乾燥パスタ。パスタをゆでるまえに乾燥させることで、長期保存できるようにしたものです。イタリアでは、15世紀頃には乾燥パスタがつくられていました。
「乾燥パスタ」と「生パスタ」の二極化は、500年以上前から続いているのですね。

なお、日本にパスタが伝わったのは、幕末だといわれています。
もちろん、本場イタリアでは既に乾燥パスタが広く普及していました。
明治時代には、わざわざ乾燥パスタを輸入して食べていた日本人もいたようです。
その後、昭和30年頃から、日本のメーカーがパスタ(当時はマカロニと呼ばれていました)を生産し、販売するようになりました。
スーパーで気軽に買えるようになり、ゆでるだけで簡単に調理できるので、日本でも普及していったのです。
このように、長年の間、日本人にとっては「パスタ=乾燥パスタ」が当たり前だったのです。
伝統的な製法に立ち返ったからこその味わい

80年代後半から90年代前半、いわゆるバブルの時代、日本にイタリアから多くの有名イタリアンレストランが出店し始めました。
それをきっかけにイタリアブームとなり、伝統的な製法で作った「生パスタ」が全国的に広がったようです。
では、伝統的な「生パスタ」は、乾燥パスタとどう違うのでしょうか。そのポイントを見ていきましょう。

- デュラムセモリナ粉とは限らない
パスタ=デュラムセモリナ粉というイメージがあるので、これは意外ですよね。確かに日本の乾燥パスタの多くはデュラムセモリナ粉でできていますし、イタリアでは「乾燥パスタはデュラムセモリナ粉で作ること」が法律で決められているほど。ですが、生パスタに関しては、本場イタリアでも日本でも、それぞれの店がこだわりの小麦粉でつくることが多いようです。
- 卵を入れることが多い
乾燥パスタは、水だけで練るのが普通。ですが、生パスタは卵を入れて練ることで、より歯切れ良くコシのある生地になります。
- 素材の風味が生きる
乾燥パスタは、乾燥させる過程でどうしても風味が抜けてしまいます。ですが、生パスタは素材を練ってそのままゆでるので、素材の風味がストレートに味わえるのです。
- 「手打ち」がウリ
日本で「生パスタ」を出すレストランの多くは、「手打ち」をウリにしています。シェフがその日の気温や湿度によって水を加減し、生地の変化を感じながらこねることで、最高のコシと味の生パスタができるのです。
生パスタを当たり前に食べられる喜び

イタリアンブームのおかげで、日本でもおいしい生パスタが日常的に食べられるようになりました。
レストランはもちろん、デリバリーでも。
生パスタには、乾燥パスタでは味わえない、伝統的な製法ならではの風味やコシがあります。
今回ご紹介したパスタの歴史や生パスタのポイントを思い出しながら、「うん!やっぱり生パスタは違うな!」と実感してくださいね。